胃黄色腫(キサントーマ)
☆医療者向け
昨日、食道によく見られる良性所見である、グリコーゲンアカントーシスについて書きました。
で、ついでといっては何ですが、グリコーゲンアカントーシスと同じくらい、内視鏡初学者のレジデントが「これって…」と振り返ってくる所見である、胃黄色腫(キサントーマ)についても、すらっと答えられるようにまとめておこうと思います。
胃黄色腫とは…。内視鏡的な見た目としては、黄白色調の、数mm大の、扁平隆起性病変ですね。近寄ってみると、黄白色の小さい粒々が無数に見えます。すごく特徴的な見た目なので、知ってさえいれば、実はあまり診断に迷うことってないんじゃないかと思います。
病理組織学的には、脂質を多く含んだものを貪食した、マクロファージが粘膜固有層の表層に集簇した所見です。ピロリ菌との関連があると言われています。
ピロリ菌が胃粘膜に感染していると、常に胃粘膜では炎症が起きている状態になりますね。炎症に伴って生じる、組織破壊物。それをマクロファージが食べにくる。上皮細胞や免疫細胞などを含む組織破壊物は脂質を比較的多く含んでいるので、それを貪食したマクロファージがたくさん集まっていると、内視鏡的に黄色がかって見える、ということのようです。
上の図のうち、左のものは胃の璧構造。内側から、粘膜、粘膜筋板、粘膜下層、筋層、そして一番外側が漿膜です。
粘膜の部分を拡大してみると、もっとも表層が粘膜上皮で、その下が粘膜固有層です。
粘膜固有層の表層に、脂質を多く貪食したマクロファージが集まっているので、その部分は、黄色調に、ちょっと盛り上がってみえる、というわけです。
これが癌になったりすることは無いし、もちろん生検もしなくていい。ただ、前述のように、ピロリ感染と関連があると言われているので、これまでピロリ菌がいるかどうか検査したことがあるか、いたならば除菌したかどうかを患者さんにご確認して、検査歴が無ければ検査する必要がありますね。